ナカノ カツヒコ   Katsuhiko Nakano
  中野 克彦
   所属   千葉工業大学  創造工学部 建築学科
   千葉工業大学  工学研究科 工学専攻
   千葉工業大学  創造工学研究科 建築学専攻
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2020/09
形態種別 論文その他
査読 査読あり
標題 ウレタンゴム系塗膜防水立上り部の膜厚に及ぼす施工具と粘度の影響
執筆形態 共著
掲載誌名 日本建築学会構造系論文集
掲載区分国内
出版社・発行元 日本建築学会
巻・号・頁 85(775),1123-1131頁
総ページ数 8
著者・共著者 法身祐治,石原沙織,中野克彦,田中享二
概要 ポリウレタン防水膜は,建設現場の防水下地に液状材料を塗布することにより,防水層を形成するために使用される。特に,施工面が垂直であるため,ポリウレタン膜の厚みが不均一になりやすく,優れた施工技術が必要である。しかし,関連する研究は少なく,現在まで十分な知見は得られていない。したがって,本研究では,実際の建物の垂直部分の膜厚に影響する実際の条件と,適切な膜厚を確保するための適切な工具と粘度を調べた。試験では,2つの実験を行い,実際の適用における施工作業と補強布の影響,および膜厚に及ぼす施工具と粘度の影響を確認した。最初の実験では,コンクリート壁を用いて,熟練作業者と非熟練作業者が行った作業を観察することにより,垂直部分の厚さ分布を比較した。垂直部分の施工は,防水材の均し作業と仕上げ作業から成り,塗布工具が適切に使用されていることが分かった。さらに,補強布に防水材を均一に塗布することにより,施工技術レベルに関係なく,膜厚のばらつきを効果的に低減できることが明らかになった。2番目の実験では,塗布作業中の膜厚に対する塗布工具と粘度の影響を調べた。塗布工具に関係なく,塗布あたりの塗布量は粘度と共に減少する傾向があった。次に,合板下地を用いたT形フレームを製造し,施工工具,粘度(希釈率0%~5%),および補強布が膜厚に及ぼす影響を調べた。粘度が減少すると膜厚のばらつきが増加したが,膜厚の平均値に差はほとんど観察されなかった。また,ゴムべらを用いた場合,ローラと比較して作業時間が長くなる傾向があった。以下の結果が本研究から導き出された。(1)垂直部分の補強布は,未硬化防水材を保持し,施工技術レベルに関係なく,膜厚を効果的に確保した。(2)均し作業において,粘度が低下すると,防水材を施工面全体に配ることが難しくなり,膜厚のばらつきが増加する傾向があった。この傾向は,ゴムべらの場合に特に顕著であった。(3)防水材の粘度が下がると,均し作業における塗布量が減少するので,作業時間が長くなる傾向があった。従って,適切な膜厚を確保するためには,防水材を希釈すべきではない。(4)実際の状況では,塗布工具,粘度,および作業時間のバランスを考慮することが重要である。
ISSN 1340-4202